韓非子(現代語訳) 名人・ 名言集
『韓非子』(かんぴし)
中国戦国時代の法家である韓非の著書
内容は春秋戦国時代の思想・社会の集大成と分析とも言えるものである。
韓非は百家争鳴と呼ばれる中国思想史の全盛期に生まれた政治家である。書中では分かりやすい説話から教訓を引き、徹底的に権力の扱い方とその保持について説いている。
韓非は性悪説を説く儒家の荀子に学んだといわれ、非違の行いを礼による徳化で矯正するとした荀子の考えに対し、法によって抑えるべきだと主張した。
韓非の生まれた戦国末期は、戦国七雄と呼ばれる七ヶ国に中国は集約され、春秋五覇の時代を経て徐々に統一の機運と超大国出現の兆しが生まれ始めた時期であった。統一への動きとは無論、諸国の存亡を賭けた戦いの連続であり、国家同士の総力戦でもあった。そして過酷な生存競争は、人材登用の活発化にも繋がっていった。
それまで君主の血統に連なる公子や貴族などによって運営されていた国政も、階級が下の士大夫や素性の知れない遊説の徒などに、君主の権限が委譲されることも珍しいことでは無くなっていた。君主に権力を集中し、それを迅速に適材に委ねる必要があったのである。
しかし、結果として、当時の王権は特定の士大夫や王族に壟断されることが多く、斉(山東省)や晋(山西省)などのように国そのものを奪われてしまう例も起こっていた。そこで韓非は分断され乱脈化した君主の権力を法によって一元化し、体系化することにより強国になるべきだと考えたのである。これら韓非の思想は、皮肉なことに韓非の出身国である韓ではなく、敵対する秦の始皇帝によって高く評価された。これは秦の孝公の時代に商鞅が法家思想による君主独裁権の確立を済ませていた事が大きく作用している。
全五十五篇、十余万言からなる。そのうち、始皇帝を感激させた書物は「孤憤篇」「五蠹篇」の二篇である。また、「初見秦篇」については合従連衡・韓を扱った記述についての見解から韓非のものではないとする説もあり、論争となっている。『漢書』芸文志に「韓子五十五篇」とあるように、元々は『韓子』という題名だったが、唐代の韓愈の尊称と区別するため『韓非子』と呼ばれるようになった。清代末期の考証学者の王先慎は、その成果を集大成した注釈書『韓非子集解』を著した。江戸時代中後期の日本では、荻生徂徠、芥川丹邱、津田鳳卿、太田方(全斎)、藤沢南岳らが注釈書を著した。なかでも太田による『韓非子翼毳』は、十年近い歳月を費やした大著であり、今日でも高く評価されている。明治時代には、田岡嶺雲らが『韓非子』の思想を西洋のマキャベリと類似視して高く評価した。
人に意見を述べる、真の難しさは話す相手の心を読み取って、自分の意見をそこにうまく合わせる、その難しさなのである
★ 知ることの難しさは他人を見抜くことではなく、自分で自分を見抜くことである
★ 非常識な振る舞いをし、外国の諸候に無礼なことをしていると、我が身を滅ぼすことになる
★
★※諸侯(しょこう)…一定の領域を支配することを許された臣下である貴族のこと
★ 国を治めるには公平を失ってはならない
★ 小さな忠義にこだわると、大きな忠義を妨げることになる
★ 政治というものは普通のことを治めることである
★ 君主は権力の要をおさえていれば、それで良い。
★
★それを怠って、巨下の為すべきことまで手を出そうというのでは、眠くなるのも当然ではないか
★ 他人が自分の為にしてくれるのをアテにするよりは、自分で自分自身のためにする方が良い
★ 今の人間は愚かなくせに聖人の知恵を先生とすることを知らないでいる
★ 本当に優れた人物は、物事のわずかな変化や違和感を見逃さない
★ 天下の主となりながら日を忘れるようでは、天下は危ういことだ
★ 知略に富むと思っている相手には、その知略の欠点を指摘して窮地に追い込んではならない
★ 謹んで自分の仕事を果たし、運命を天に任せ、仕事の要点を失わなければ、それは聖人である
★ 部下がトリックを使えば、君主は刑罰の適用を誤る。その結果、重臣が勢力を伸ばす
★ 知ったことは知ったこととし、知らないことは知らないこととする。それが知ることである
★ 自分でよく分かっていても、まだ十分人分かっていないと考えているのが、最も良いことである
★ 君主としての道は必ず公私の別を厳しくし、法令を明らかにし、私的な感情を捨て去ることである
★ 君主は自分で仕事をしないで、巨下にさせて、仕事の巧拙を見極める
★ 君主たる者の道は、静かにして身を退けることが重要である
★ 君主は賞罰で巨下を統率するものである
★ 賢明な君主は、相手が自分が背かないことを頼みとしない。相手が背けないような自分であることを頼みとする
★ 意見を述べる際には、機敏をよくよく考えなければならない
★ 知らずして言うは不智。知りて言わざるは不忠
★ 立派な君主は巨下たちの苦しむことを取り除き、君主が楽しみとすることを成立させるようにする。
★
★上下とも利を得ること、これに勝るものはない
★ 人民を治めるのに一定不変の方法はなく、うまく治めるやり方はただ法律だけなのである
★ 賢臣がいて、君主のためになさぬなら、君主の地位は危うい。
★
★そうであれば、父に賢良な子がいて、君主に賢臣がいるのは、害をなすのみである。
★
★どうして利益になどなろうか
★ 私が聞くところでは、臣下は君主に仕え、子は父に仕え、妻は夫に仕える。
★
★この三者が正しければ天下は治まり、三者が逆であれば天下は乱れる
★ 賞罰が己に関わるとなれば、里の人々は互いに伺い合わざるを得ず、ただ連座の禍から免れられなくなることを恐れる
★ 人の本性として、その死力を尽くして自分の欲望を果たそうとしない者はいない
★ 時勢が変化しても法律が元のままであると、天下は乱れ、せっかく人民を治めて得ていても、禁令がいつまでも変わらないと、他国に国土を削られることになる
★ 法律は王政の基本であり、刑罰は人民への愛情のはじまりである
★ 君主が愛情を掛け過ぎると、臣下はそれに甘えて法が守られなくなる
★ 父母は、たとえ戯れであっても、子を欺いてはいけない
★ 君主が法をしっかりと行えば、大きな虎も恐れ、君主が刑罰をしっかりと行えば、大きな虎も自然におとなしくなる
★ 智恵と技巧を取り除かねば、常の道を得ることは難しい
★ 人民の本性は、労苦を嫌い、安逸を好むものである
★ 名君が臣下を統率するために必要なのは、アメとムチの使い分けだ
★ 人生には時に他人の力に頼らなければならない時があるが、それが慢性化するとその人物の実力は凋落の一途を辿る
★ 人を欺いて言葉巧みに生きる事は、不器用でも誠実に生きる事には敵わない
★ 安利はこれに就き、危害はこれを去る、これ人の情なり
★ たとえ将来的に有用であることが立証されている政策でも、常に最優先事項だとは限らない
★ 進言する上で、心掛けるべきことは、説得しようとする相手が誇りとしていることは褒める、恥としていることは忘れさせる、これをわきまえることである
★ 君主の全ての物事において、その身は最も貴く、その位は最も高く、その権威は最も重く、その勢力は最も大きいということが重要です
★ 君主が女色を好むと、太子の地位が危うくなる。一方、君主が男色を好むと、宰相の地位が危うくなる
★ 道理にかなったこと努力をすれば、案外容易に目標は達成できる。
★
★しかし、道理に反する事をやっていれば、どれだけ苦労しても無駄骨に終わるだろう
★ 罪悪を告発することについての恩賞と刑罰が天下に行われないと、告発する者がなくなるので、必ず君主の耳目は塞がれてしまう
★ 君主が自慢げに賢人を好むと、臣下に欺かれるだろう
★ 相手がとても実行できないようなことを無理強いし、相手がとても止められないようなことを無理に止めさせようとする。そんな時は説く者の身は危険にさらされる
★ 事を起こす際は秘密裏に進めていくから成功する。相談事はその内容が漏れることによって失敗する
★ 遠水は近火を救わず
★ 相手の意向に逆らわないよう、相手を刺激しいよう、話し方に注意する
★ 君主にとって害となるのは、人を信じることである。
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★人を信じればその人に制せられることになるのである
★ 君主を説得することは難しい。
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★それは君主に説くに相応しい知識を身につけることが難しいのではない。
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★また弁舌爽やかに自分の意見をはっきりと伝えることでもない。
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★さらに自在に弁じたてて言いたいことを全て言い尽くすことが難しいのでもない
★ 大きな功を挙げたいと願っても、願うばかりえ努力を怠っていては功を挙げることなど期待できないように、国を治めようと思っても、願うばかりで古い習慣を改めることを憚っていては、人民の乱れを治めることは到底期待できない
★ 寵愛を受けて権力を欲しいままにし、外交内容を歪めて国内をこれに従わせ、禍福や得失がどうであるか勇ましく言い立て、君主の好みに自分を合わせると、君主はこれを聞き入れる
★ 誰でも最も大切なものは自分の身のはずである。
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★自らが自分の身を不死にすることができないでいて、どうして王を長生きさせることができようか
★ 君主の嫌うものが分かると、巨下は嫌われそうなところを隠すようになり、君主の好むものが分かると、巨下は好みに合ったことができるような嘘をつく
★ 仁とは、心の底から喜んで人を愛することをいうのである。
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★その人に福があることを喜び、その人に禍があることを憎む様は、心の抑えきれない気持ちから生じるのであり、報酬を期待してのことではないのである
★ 虚心とは、その意思が何者にも支配されない状態を言うのである。
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★今、虚心になるために虚心になるという意思に支配されては、これは虚心ではないのである
★ 徳とは人の内面のことであり、得とは人の外面のことである
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