第九章 仏昇須弥頂品


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  • 概要: 華厳経第三 トウ(小+刀)利天会  第九章 仏昇須弥品 この章から第十四章までは第三天トウ利天である。前の第二会が信を中心に説かれ

    華厳経

    第三 トウ(小+刀)利天会

      

    第九章 仏昇須弥品



     この章から第十四章までは第三天トウ利天である。前の第二会が信を中心に説かれたのにたいして、この第三会は十住が中心の主題となっている。すなわち前の信心にもとづいて、仏法の理解を十段に分けて説明していく。説法の場所は、第一第二会が地上であったのに対して、第三会は、須弥山のいただきにあるトウ利天であり、第四会以下は、さらに高く天上へと昇っていく。それは、説法が進むにつれて菩薩行も高まることと対応している。本章と次の章とは、この第三会の序章である。

     世尊せそん注1は、威神力いじんりきのゆえに、この悟りの座を離れないで、須弥山注2のいただきにのぼりたまい、トウ利天上の帝釈殿に向かわれた。
     そのとき、帝釈天は、はるかに仏の来りたまえるを見て、多くの宝をちりばめた席を設け、この上に宝の布を幾重にもかさねた。
     それから帝釈天は、仏に合掌礼拝して言うよう、
    「よくお出でくださいました。世尊よ。どうか、わたしたちをあわれみたまいて、この宮殿におとどまりください。」
     世尊は、この願いをきき入れて、宮殿にのぼりたもうた。
     そのとき、帝釈殿の無量の音楽は、仏の威神力のために、寂としてしずまりかえった。
     帝釈天は、かつて過去仏のみもとにおいて、もろもろの菩薩行を行じたことをおもい出し、つぎのように言う。
    迦葉仏かしょうぶつ注3は、大慈をそなえ、福徳円満である。かの仏は、かつてここにお出ましになった。それゆえに、この地はもっとも祝福されている。
     拘那含牟尼仏くなごんむにぶつ注4の智慧は、さわりがなくて、福徳円満である。かの仏は、かつてこおにお出ましになった。それゆえに、この地はもっとも祝福されている。
     拘樓孫仏くるそんぶつ注5の身体は、あたかも金山のごとく、福徳円満である。かの仏は、かつてこおにお出ましになった。それゆえに、この地はもっとも祝福されている。
     毘舎浮仏びしゃぶぶつ注6[隨葉如来]は、むさぼり、いかり、愚痴の三毒をはなれて、福徳円満である。かの仏は、かつてここにお出ましになった。それゆえに、この地はもっとも祝福されている。
     尸棄仏しきぶつ注7は、つねに寂まりかえって、福徳円満である。かの仏は、かつてここにお出ましになった。それゆえに、この地はもっとも祝福されている。
     毘婆尸仏びばしぶつ注8は、あたかも満月のごとく、福徳円満である。かの仏は、かつてここにお出ましになった。それゆえに、この地はもっとも祝福されている。
     然燈仏ねんとうぶつ注9[提舍如来]は、明らかに世界を照らし、福徳円満である。かの仏は、かつてここにお出ましになった。それゆえに、この地はもっとも祝福されている。」
     このように帝釈天は、仏の威神力をうけて、過去諸仏の功徳をほめたたえた。おなじように十方の帝釈天もまた、それぞれかつて修行したところの過去の諸仏をほめたたえた。
     そのとき世尊は、師子の座にのぼり、結跏趺坐したもうた。すると宮殿は、たちまち、つきぬけるようにひろがり、トウ利天とおなじ広さになった。十方の宮殿もまたおなじである。


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