第十五章 仏昇夜摩天宮自在品


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  • 概要: 華厳経第四 夜摩天宮会  第十五章 仏昇夜摩天宮自在品 この章から、第四の夜摩天宮会やまてんぐうえにはいる。この第四会は、四章から

    華厳経

    第四 夜摩天宮会

      

    第十五章 仏昇夜摩天宮自在品



     この章から、第四の夜摩天宮会やまてんぐうえにはいる。この第四会は、四章からなっており、その中心の主題は、十行が説かれていることである。前の第三会をの立場とすれば、第四会は行をあらわしている。この章とつぎの章は、序章にあたる。

     仏は、神通力によって、帝釈殿をはなれずに、夜摩天の宝荘厳殿に向いたもうた。
     そのとき、夜摩天王は、はるかに仏の来られるのを見たてまつり、殿上において蓮華蔵の師子座をしつらえ、多くの宝でかざり、多くの宝の綱で、その上をおおい、多くの宝の衣を、その上にしき、多くの天子は、その前に立ちならび、多くの梵天が、これをとりまき、多くの菩薩は、その前にあってほめたたえている。
     無数の光明は、てりかがやき、無数の音楽は、自然に正法をのべつたえている。
     ときに、夜摩天王は、蓮華蔵の師子座を荘厳しおわって、合掌し、うやまい、仏にもうしていうに、
    「どうか世尊よ、この宮殿におとどまりください。」と。
     仏は、このねがいをうけ入れて、宮殿にのぼりたもうた。
     そのとき、かなでられていた無量の音楽は、寂然としずまりかえった。
     夜摩天王は、かつて過去仏のみもとで修行したところの仏法をおもいおこしながら、つぎのようにのべる。
    「名称如来は、十方になりひびき、かつてこの宮殿に入りたもうた。それゆえに、ここは、もっとも祝福されている。
     宝王如来は、世間のともしびで、かつてこの宮殿に入りたもうた。それゆえに、ここは、もっとも祝福されている。
     喜王如来は、智慧がはかり知られず、かつてこの宮殿に入りたもうた。それゆえに、ここは、もっとも祝福されている。
     無師如来は、世間から尊ばれ、かつてこの宮殿に入りたもうた。それゆえに、ここは、もっとも祝福されている。
     苦行如来は、世間に利益をあたえ、かつてこの宮殿に入りたもうた。それゆえに、ここは、もっとも祝福されている。」
     そのとき世尊は、蓮華蔵の師子座の上にのぼり、結跏趺坐したもうた。たちまち宮殿は、つきぬけるように大きくなり、夜摩天いっぱいにひろがった。


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