第二十章 兜率宮中偈讃品
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概要: 第二十章 兜率宮中偈讃品 この章は、前章とともに、第五会の序文であるが、ここでは、種種の菩薩が、仏の神通力をうけて、仏の世界をほめ
第二十章 兜率宮中偈讃品
- この章は、前章とともに、第五会の序文であるが、ここでは、種種の菩薩が、仏の神通力をうけて、仏の世界をほめたたえる。
無数の国々の、無数の菩薩たちが、それぞれ、自分の一族をひきいて、仏のみもとに参詣し、つつしみ、うやまいて、礼拝し、十方にみちあふれて、結跏趺坐した。これらの菩薩たちは、かつて、それぞれの仏のみもとにおいて仏道を修行しており、今では、はかり知れないほどの仏の真理を完成している。
そのとき、仏は、両方の膝から、無数の光明を放って、あまねく、十方一切の世界を照らしたもうた。もろもろの菩薩たちは、そのために、如来の神通力の自在なることを、見たてまつることができた。
これらの菩薩たちは、ヴィルシャナ仏が、かつて菩薩の道を行じ、はかり知れないほどの多くの仏法を修めたときの善知識である。
菩薩たちは、つねに、諸仏のさとりと神通力をねがい、みずから、こわれることのない法身となり、さわりやへだてのない三昧に入り、不可思議の仏を見たてまつることができて、心に執著することがない。
菩薩たちは、つねに、諸仏にまもられ、仏の神通力によって彼岸の世界に達し、すみやかに、無上のさとりを完成して、如来の根底に入り、その清浄の法身は、仏の住みたもうところに、みずからも住んでいる。
そのとき、金剛幢菩薩は、仏の神通力をうけて、あまねく、十方世界を観察し、つぎのように、ほめたたえる。
「如来は、大願力によって、自由自在の仏法を、あらわしておられる。
この法は、不可思議であり、ただ、彼岸に達しているものだけが、諸仏の境地を、見たてまつることができる。
形にあらわれた身体は、如来ではない。音声もまた、如来ではない。しかし、形や声をはなれずに、仏の自在力は、はたらいている。
仏は、ここへ来ることもなく、かしこへ去ることもなく、ただ、清浄の法身が、自在力をあらわしている。
もし、菩薩が、一切の智慧をもとめ、おのずから、無上のさとりを、完成しようとおもうなら、まず、まさに、そのこころを浄くし、つぶさに、菩薩の行を修すべきである。」
そのとき、堅固幢菩薩は、仏の神通力をうけて、あまねく、十方世界を観察し、つぎのように、ほめたたえる。
「仏の世界は、はなはだ深くして、説くことができない。すべてのことばが、たえはて、清浄なることあたかも虚空のごとくである。
仏の説きたもうところの法は、はなはだ深く、因縁にしたがって、清浄身をあらわしておられる。
このような大乗の智慧が、すなわち、諸仏の境界である。もし、この智慧を求めようとおもうならば、つねに、仏に親しむべきである。
もし、清浄のこころをもって、すべての諸仏を供養したてまつり、つねに、倦むことがなければ、ついには、仏道を完成するであろう。
尽くすことのできない功徳の蔵によって、菩提心は深められ、もろもろの疑惑をはなれ、仏をこころに思いうかべてあきることがない。」
そのとき、夜光幢菩薩は、仏の神通力をうけて、あまねく、十方世界を観察し、つぎのように、ほめたたえる。
「十方もろもろの世界の、一切の衆生は、あまねく、仏の清浄な法身を、見たてまつることができる。
たとえば、一心の力が、種々の心を生ずるように、仏の一法身は、諸仏の種々の身を生み出している。
法身は、二つとなく、また、自性もなく、きよめられ、かざられて、十方世界に、あらわれないところはない。
法身は、あたかも、虚空のごとく、その功徳は、尽くすことができない。それは、ただ、諸仏のみの境界である。
三世一切の仏は、その法身、ことごとく清浄で、衆生に応ずるところにしたがって、あまねく、すがたをあらわしておられる。
仏は、いまだかつて、わたしは、このようなすがたになろう、というおもいを生じたことはなく、ただ、自然に、衆生に応じておられる。」
そのため、離垢道菩薩は、仏の神通力をうけて、あまねく、十方世界を観察し、つぎのように、ほめたたえる。
「諸仏の智慧の光は、円満にして、世間をきよめている。
もし、ひとが、衆生の数にひとしい諸仏を、見たてまつろうとねがうならば、如来は、一切に応じたまいて、しかも、ここへ来ることもなく、かしこへ去ることもない。
もっぱら、仏の境界を念じて、無量のこころをおこせば、見たてまつるところの、もろもろの如来はそのかず、こころとひとしい。
如来は、衆生のために、衆生に応じて、法を説きたまい、あまねく、仏身をあらわしておられる。
一切の諸仏は、無量の自在力をもって、衆生のおもいに等しいだけの仏身を、あらわし、種々のすがたによって世界をきよめておられる。」
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